米国科学雑誌『Journal of Biological Chemistry』に遺伝病のひとつである「マルファン症候群」の疾患の改善につながる研究成果が掲載されました。
この度、東京理科大学・総合研究機構(基礎工学研究科兼務)、辻 孝(つじ たかし) 教授、同・基礎工学部、齋藤正寛准教授らの研究グループは、体の弾力を調節する微細線維の成分であるADAMTSL6βが、マルファン症候群の疾患を改善につながる研究成果を、米国生化学雑誌『The Journal of Biological Chemistry』(http://www.jbc.org/)において発表されることとなりました。
辻教授らの研究グループは、器官再生の基盤技術として歯や毛髪の再生につながる研究開発を推進しており、2007年の「器官原基法」の開発(Nature Methods)、2009年には再生歯胚移植による歯の機能的な再生(PNAS)、本年7月には再生歯と歯周組織を含む「再生歯ユニット」により機能的な歯と歯周組織を再生できること(PLoS ONE)を示し、器官再生に道を拓きました。これらの研究に加え、基礎工学部、齋藤正寛准教授と共同で歯周病に対する組織修復のための再生医療技術の開発を進めてまいりました。
今回の研究成果は、基礎工学部生物工学科、齋藤・辻研究室、齋藤正寛准教授のチームが中心となり、体の弾力を調節する微細線維の成分であるADAMTSL6βが、マルファン症候群の症状を改善することを見いだしました。マルファン症候群とは、5千人に1人の割合で発症する遺伝病のひとつであり、国内で2万5千人の患者がいるといわれています。マルファン症候群では、機械的圧力の負担の大きい大動脈や、肺、歯根膜組織で微細線維形成不全がおこり大動脈瘤、肺気胸、歯周病などの重篤な疾患を発症することが知られています。今回の研究では、マルファン症候群における微細線維の解析モデルとして主に歯根膜と血管を用いて解析を進め、ADAMTSL6βがマルファン症候群における微細線維形成不全を回復させることを明らかにしたものです。このことからADAMTSL6βはマルファン症候群の微細線維形成不全による疾患の治療への応用可能性が示されました。さらに今回の研究成果は、微細線維形成不全の回復のために、その成分を補充、強化するという新しい治療コンセプトを示すものであり、マルファン症候群の新たな治療戦略の可能性を示すものと考えられます。 研究成果の詳細につきましては、 下記プレスリリースをご参照ください。
本研究成果は、関口清俊教授(大阪大学、蛋白質研究所)、米田俊之教授(大阪大学、大学院歯学研究科、生化学教室)、野口俊英教授(愛知学院大学、歯学部、歯周病学教室)、寺中敏夫教授(神奈川歯科大学、歯学部、保存修復学講座)須田直人教授(明海大学、歯学部、矯正歯科)との共同研究によるものです。また 本研究は、厚生労働省・厚生労働科学研究費補助金・厚生科学疾病・障害対策研究分野、難治疾患事業(研究代表者:大阪大学大学院歯学研究科、口腔分子免疫制御学講座、歯周病分子病態学、村上伸也教授)、平成21-23年度、文部科学省・科学 研究費補助金・基盤研究(B)(研究代表者:齋藤正寛)、同・平成21-22年度、挑戦的萌芽研究(研究代表者:齋藤正寛)の研究補助金、および株式会社オーガンテクノロジーズの共同研究費により推進されたものです。
- プレスリリース
- more(PDF)
- 論文掲載ページ
- http://www.jbc.org/